今年の「シモキタボイス」が閉幕して、三日ほど経った。
しかしいまだにワクワクが体から抜けなくて、不思議な感じです。 個人的に、なんだか昨年よりも終わったあとの感動が大きい。 それは、今年は時間がないにもかかわらず自分の果たすべき役割が大きかったので、「ああーよくやったな」って思ったっていう(笑)、個人的な事情にもよるんだと思う。 けど、今年のイベントは全体としてすごくアットホームなもので、幸せなオーラが立ち込めていた。 とりわけ最終日のライブは、スタッフをやりながらなのでじっくり聞けたわけではないけれど、すごく幸福な時間だった。 それは、たくさんのミュージシャンが下北沢のために心をこめて演奏をし、その場に集った人々を勇気づける瞬間の持続だったように思う。 主催者なのにこんなことを言うのはおかしいかもしれないけれど、この日「なぜ再開発反対のために音楽ライブをやるのか」ということの意味が、わかった気がする。 その場を楽園にするような、自由で明るく、でもそれでいてアットホームな、穏やかな時間だったからだ。 ジンタらムータの演奏では、ちょうど最後から二曲目あたりで、会場内をバタバタしながら足を止めて聞き入り、感極まって泣きそうになってしまった。 二日目は、普段から尊敬している人や好きな人が下北沢に来てくれていろいろと話をして、帰っていくということ自体の熱量に、痺れました。 (実はこの日非常にバタバタしていてシンポジウムの内容をほとんど把握できていないので、後日映像でチェックしようと思います。) 昨年の「シモキタボイス」のシンポジウムで曽我部恵一さんが次のような言葉をおっしゃっていた。 俺は、勝手にやっていくということが本当に大事だと思う。何が起こっているかという事態を知っているけれど、それでも「自由にやっているよ」と言えることが重要です。 この言葉は、私にすごくしっくりくる。 私は自分が出たシンポでずいぶん「権力への対抗だけを核にしては運動は成り立たない」と言ったので政治嫌いのように思われたかもしれないが、政治は好きとか嫌いとかではなくて、そこにまぎれもなくあるものだと思う。 何が起こっているかを漠然と知りながら、それをめぐって歌ったり、しゃべったり、集まったりすること、そしてそのこと自体が熱を帯びたものになること。 今回の「シモキタボイス」はまさしく、曽我部さんの言葉を体現するものになったように思います。 わー 長くなってしまいました。 今年も「制作日誌」にお付き合いくださったみなさま、ありがとうございました。 #
by shimo_voice
| 2008-09-04 08:38
---------------------------------------------------------------- ◇シンポ&ライブ「SHIMOKITA VOICE 08」 ―去年の夏、僕らはシモキタヴォイスを立ち上げた。 たった一年で急変貌する街の空の下、再び語る夏が来た。 ◆◆2008年8月29~31日◆◆ ---------------------------------------------------------------- いま下北沢の駅前は白いフェンスにおおわれ、工事が始まっています。 それは小田急線を地下にするための工事で、下北沢を分断する道路とセッ トになったものなんです。 道路工事はまだ始まっていないけれど、なんとなくそわそわし始めた街。 その下北沢から、再び、街を分断する道路計画と高層再開発の問題につ いて問いかけるため、シンポ&ライブイベント「シモキタボイス」をこ の夏、開催することになりました。 「シモキタボイス」は昨年、道路予定地にかかっている劇場「ザ・スズ ナリ」が主催して話題を呼びました。 今年は道路計画の見直しを求める地元商業者のグループ「下北沢商業者 協議会」が主催します。 今年もいろいろな角度から下北沢の道路問題について考え、感じる三日 間になります。 再開発問題の概要を知ることができるシンポジウムや、山本精一さん、 曽我部恵一さん、原マスミさんなどが出演されるライブイベントなど、 盛りだくさんのプログラムです。 下北沢の問題を世に問う一年に一度のこのイベントを盛り上げるため、 あなたもぜひ当日は下北沢に駆けつけてください。 また、お友達にもイベントについて、どんどん話してくださいね。 (出演者やプログラムなどの詳細は特設サイトをご覧ください。) 【SHIMOKITA VOICE08 特設サイト】 http://www.shimokita-sk.org/sv2008/ 【下北沢商業者協議会】 http://www.shimokita-sk.org/ ---------------------------------------------------------------- <転載大歓迎> #
by shimo_voice
| 2008-08-31 16:00
今年も、「シモキタボイス一日目」が始まる。
今日は華やかな幕開けにふさわしく、これまで下北沢の運動を支えてきた方々に加え、松原隆一郎さん(経済学者)とマエキタミヤコさん(「サステナ」代表)がトークゲストとして参加してくださるオープニングシンポに始まる。 そして次に行われるのが、「ライブ・夏の課題1」である。 昨年の日誌とほとんど同じようなことを書くけれど、下北沢に来る前にふつうにCDを買ったり映画を見ていたり、本を読んでいたりしたいろんな人々に、下北沢にきてじかにお会いすることがすごく多い。 今日のライブに出演してくださる山本精一さんもそうだ。 山本さんには、今回の主催団体「下北沢商業者協議会」の代表をつとめる大木さんのお店「LADY JANE」が毎週行っているライブで初めてお会いした。 客として見に行っていただけなのに、いつのまにか夜半には打ち上げの席に同席させてもらっていた。 前にタワーレコードとかツタヤとか、そういった大きなお店に並ぶCDを手にとって、レジにもっていって、家に帰ってデッキにCDを入れて再生して、本を読んだりパソコンをいじりながらCDに身をゆらゆら委ねるっていうようなコミュニケーションしかしていなかったアーティストと直に会うと、本当に不思議な気持ちになる。 そのアーティストが自分に向かって話す話し方、表情、息遣いとかを知ると、やっぱり以前みたいなデッキを介したコミュニケーションとは何か違う。私は山本さんとはそのときしかお話していない。でも、CDを介する不特定多数に対してではない、特別なコミュニケーションをしたなって気がした。それはちょっと恥ずかしいけれど光栄な、ドキドキするような経験だった。 「人と人が近い街」とか「どんな人でも等身大の街」とか、下北沢におけるこういう経験を説明するべく、さまざまな表現が世の中には存在する。 私はこういう経験を、上記のような言葉で特権化したり神秘化したりするのはなんとなくむずがゆい。なぜなら、こういう言葉がすくいとれないほど、この経験はさりげなく、身近なものだからだ。 今日ライブに出てくださる方は、エッセイを寄せてくださった吉本ばななさんを含め、こういったさりげないつながりによって運動とつながってくださった方々なのだ。 ぜひこういう経験を少しでも多くの人に伝えたい、共有してほしいと思う。 というわけで、首を長くして、ご来場をお待ちしています。 【第1日】2008年8月29日(金) 会場:北沢タウンホール・2階大ホール ○オープニング・シンポジウム 「下北沢の再開発計画、今どうなっているの?─ 下北沢文化の現況と展望」 17:00~18:30/入場無料(カンパ制) ■パネリスト 松原隆一郎 (東京大学大学院教授・経済学) マエキタミヤコ (「サステナ」代表) 石本伸晃 (「下北沢商業者協議会」、弁護士) 下平憲治 (「Save the 下北沢」代表) 原田学 (「まもれシモキタ!行政訴訟の会」代表) 大木雄高 (「下北沢商業者協議会」代表) ■司会 伊藤麻紀 (「まもれシモキタ!行政訴訟の会」事務局) ○Live 夏の課題・01受付開始(※整理券配布)16:30 開場 18:30/開演 18:45 2,500円(全席自由) ●メッセージ朗読~「下北沢のこと」(よしもとばなな著) ●ライブ 山本精一(g)+山本久土(vo/g)+茶谷雅之(ds)TRIO おおたか静流(歌)+内橋和久(g) 原マスミ(歌/g) #
by shimo_voice
| 2008-08-29 05:55
今、下北沢の開発問題の状況はとっても見えづらいものになっていると思う。
このブログをご覧の方の中には現状を知りたい方が多いと思うので、一度整理してみようと思う。 下北沢の再開発は、道路計画の補助54号線、駅前ロータリーの区画街路10号線、高層化・高密度化(ようするにビル建設)を促す地区計画、小田急線の地下化の4つの事業がワンセットになっている。そのうち、小田急線の地下化は2004年に、そのほかは2006年に認可がおりている。(厳密に言うと、地区計画は都市計画決定) いま下北沢の南口ドトールがなくなって白いフェンスでおおわれている部分とか、線路のまわりで行われている大掛かりな工事は、全部小田急線の地下化工事である。 (この工事を見て、「シモキタの道路建設もはじまっちゃったのね」と思ってる人が多いので、要注意です。道路建設に関しては、用地買収もまだ始まっていない。) そのほかに、下北沢の広いエリアでぽつぽつとビルの工事が行われていることにお気づきの方も多いと思う。その工事は、建築基準を緩和する地区計画が計画決定したから始まったものだ。 運動の側は、小田急線の地下化には反対していない。 一方で、テナント料の高騰を招いて結果的に個人商店の新規参入を妨げてしまう高密度化にはおおむね反対の人が多い。 つまり、「大型道路や高層ビルがもってのほかなのはもちろんなのだけど、地下化で街の風景が変わることは前提条件。その中で下北沢のよさを最大限に残していくためにどうすればいいか。」を考えなければならないという状況に、運動は置かれているのです。 ~ 小田急線が地下化したら、シモキタの街には長大な線路跡地ができることになる。 今、その利用の方法についてのアイデア募集をするコンペのようなものを世田谷区が開始しており、アイデアを整理する役割、とされる「上部利用検討委員会」も立ち上がっている。 というふうに書くと、「おっ ついに世田谷区も広く意見をきくようになったのかな」と思う方もいるかもしれない。 でもなぜかこのアイデア募集、募集要項にこんな言葉が書いてある。 「鉄道事業者施設(駅舎等)および都市計画決定している都市計画施設、ならびに関係機関と協議し位置、規模などを定めている駅前広場についてはアイデア募集の対象外となります」 ようするに、反対の声が多く集まっている広大な駅前ロータリーや補助54号線の計画についてはとうぜん文句が言えない、だけではなく、シモキタの街の姿を大きく変える駅舎のデザインに意見することもできないのだ。 さらに、元代表の金子さんのブログに詳しいように、駅の出入り口の場所すら明らかにされていない。 このやり方で、本当に街の将来にとって有効な意見を広く集めることが、できるんだろうか。 ~~ ところで、表題は、セイブのメンバーの木村君がたまに口にするせりふ。 運動にかかわっている人たちは、いつも現状をわかりやすく説明する言葉を作ろうとしてきた。 なぜなら、その言葉によって、ほかのメンバーたちが現状を理解することができて、目標をゆるやかに共有してアクションを起こすことができるからだ。 この「ストーリー作り」がうまくいくと、運動は大きな力を発揮することができると思う。 「現状を定義する言葉が足りない」というせりふを、久しぶりに木村君から聞いた。 たしかに、上に説明したような複雑ないまの状況の中で、運動の方向性をひとつにまとめるような「大きな物語」が運動に存在してないように思う。 たとえば、今回みたいなイベントをやって、一年に一度下北沢の問題の存在感をアピールすることが効果的と考えている私のような人もいれば、訴訟のために運動を最大限に盛り上げることが必要と考えている人、道路はなかなかできないだろうから経済的にも疲弊している街のテナントの問題を解決することが必要だと思っている人、跡地利用についていいプランを作ってとにかく区にぶつけることが必要だと考えている人など、さまざまな考え方が、運動に渦巻いていると思う。 ~ ところで、30日の最終シンポジウムは、「シモキタ・クラッシュ―再開発反対運動の多様性」だ。 このシンポは、「Save the 下北沢」のメンバー有志(私を含めて)が企画を立てたものだ。 「何が有効なアクションか」の考え方に、その人の立場とか特性、嗜好は大きく左右している。 たとえば単純な言い方だが、ファミリーでずっと下北沢に住んでいる住民の人は、町内会やPTAを巻き込んで住民を出来るだけ味方にすることが重要だ、と考えていたり、ということ。 下北沢の運動の特徴は、住民っぽい住民・商業者・来街者(街の愛好者)といったさまざまな立場の人間が一緒になって、運動を作ってきたことだと思う。 (居住の有無だけではなく、職業的にもバラバラだ。) だからこそ、多くの人が目標を共有できるような「現状を定義する言葉」は、とても重要な役割をもってきたと思う。 30日のシンポは、運動の中から住民っぽい住民・30年以上店を開いている商業者・街の愛好者・区議会議員というばらばらな立場の人が出演して、それぞれにいまの運動・いまの街がどのように見えているのかをあえて公開の場で議論するという内容だ。 司会は、下北沢の問題を長い間ウォッチしてくださってきた、社会学者の北田暁大さんが引き受けてくださることになった。 そこに、都市計画の専門家の福川裕一さんが加わって、議論を引き締めてくださる。 (私も「街の愛好者」的立場の代表として、議論に参加させていただくことになっている) 「現状を定義する言葉」を少しでも編み出すことを目指して、このシンポに望みたいと思っている。 8月30日(土)19:00~20:30 「シモキタ・クラッシュ」― 再開発反対運動の多様性 #
by shimo_voice
| 2008-08-26 15:22
イベントスタッフの木村くんから、こんな連絡をもらいました。
~~ 下北沢駅周辺にある公設掲示板に「シモキタ・ヴォイス」の ポスターを掲示するために北沢支所(タウンホール)と 連絡をとりました。 当初、区の担当者は「地域性」「非営利」という項目が 満たされていれば掲示できると言っていましたが、 最終チェックのためにポスターをFAXしたところ、 「HPを確認したところ、区の方針に反対する 趣旨のイベントであることは明らか」として、 掲載許可は出せないという連絡がきました。 公設掲示板は、その名のとおり公共的な掲示板ですので、 たとえ区の方針に異を唱える内容のポスターであっても その内容が公共的なものであれば、掲載することができるはずです。 担当者と電話で押し問答してもラチがあかないので、 掲載を却下する理由を書面をもって通知してほしいと聞きましたが、 「書面は一切出せない。他の人に対しても書面は出していないので、 あなた方だけを特別扱いにはできない」との回答でした。 掲載却下の根拠を聞きだしてゆくと、 世田谷区の内部規定「地域活動団体広報版利用要領」というものが 根拠になっているらしいということがわかりましたが、 その「要領」を見せることはできないと言われました。 行政にとって都合の悪い内容のポスターについては、 掲載却下の根拠もまともに示さずに口頭で「許可できない」 とだけ言えば済んでしまうということです。 以前行ったイベントでも、同様の扱いを受けたことがありましたが、 このまま黙って見過ごしていてよいものか疑問に思います。 何か手立てはないものでしょうか? 何かよいアイディアがあったらぜひ教えてください。 よろしくお願いします。 ~~ 実は去年の「シモキタボイス」も同じようにしてポスター掲示を断られました。 (でも去年は主催が営利団体であるスズナリだから、という理由だったので、微妙に論旨が変わってるのですが!) おとどしの「カルチュラルタイフーン」というイベントのポスターも、「Save the 下北沢のデモの写真をポスターに使っているから」という理由で断られたんですが、そのときは1時間ほど抗議しにいきました。 なんだかなあ。 こういうことがあると、「あーまたか」って思っていくらでもスルーできる反面、イライラしながらスルーしている自分に嫌気が差して、ちゃんと抗議しないとなって思ったり、でも避けるエネルギーを考えてるとまあ我慢するかって思ってしまったり・・・ と、自分の中で余計に逡巡しないといけなくなるから、やなんですよねえ。 というわけで、どうしたらいいんでしょうか。 アイデアお待ちしています。 #
by shimo_voice
| 2008-08-25 07:18
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